猫が1日に必要なカロリーは、体重から「安静にしているときに必要なエネルギー量(RER)」を計算し、避妊・去勢の有無や年齢に応じた係数をかけて求めます。こうして求めた値を「1日に必要なエネルギー量(DER)」と呼びます。
この記事の計算式と係数は、米国動物病院協会(AAHA)と米国猫獣医師会(AAFP)のガイドライン[1][2][3]と、環境省のペットフード・ガイドライン[4]に書かれているものです(2026年9月23日に確認)。
先に結論
| 項目 | 目安 | 補足 |
|---|---|---|
| 安静時に必要なエネルギー量(RER) | 70 ×(体重kg の 0.75乗) kcal | 環境省は簡易式 体重kg × 30 + 70 を紹介しています(体重2〜45kg のとき)[1][5] |
| 1日に必要なエネルギー量(DER) | RER × 係数 | 避妊・去勢済みの成猫は 1.2〜1.4、未避妊・未去勢の成猫は 1.4〜1.6、成長期の子猫は 2.5[1] |
| 年をとった猫 | 7〜10歳は RER と同じくらい、10歳をこえると RER の1.1〜1.2倍(最大1.25倍) | 年齢だけで決めず、体重と体型を見て調整します[3] |
| 体重4kg・避妊去勢済みの成猫の例 | RER 約198kcal、DER 約238〜277kcal | 係数1.2〜1.4で計算した場合 |
| 1日のごはんの量 | DER ÷ フードの100gあたりのカロリー × 100 g | 太っている猫は、今の体重ではなく理想体重で計算します[1][5] |
計算した値は、あくまで出発点です。世界小動物獣医師会(WSAVA)のガイドラインでは、猫の必要なエネルギー量は計算した値から上下に50%ずれることがあるとされています[6]。体重と体型の変化を見ながら量を調整することが前提になります。
安静時に必要なエネルギー量(RER)の計算
RER は、猫が適温の環境で安静にしているときに必要なエネルギー量です。AAHA のガイドラインでは、次の式で計算しています[1]。
RER(kcal)= 70 ×(体重kg の 0.75乗)
0.75乗の計算には関数電卓が必要なため、環境省のペットフード・ガイドラインでは、体重が2〜45kg のときに使える簡易式を紹介しています[5]。
RER(kcal)= 体重kg × 30 + 70
体重ごとに2つの式で計算すると、次のようになります。3kg ではほぼ同じ値で、体重が重くなるほど簡易式のほうが小さくなります。
| 体重 | 0.75乗の式 | 簡易式 |
|---|---|---|
| 3kg | 約160kcal | 160kcal |
| 4kg | 約198kcal | 190kcal |
| 5kg | 約234kcal | 220kcal |
| 6kg | 約268kcal | 250kcal |
0.75乗の計算方法
0.75乗は「3乗してから平方根を2回とる」ことと同じです。体重4kg の場合、4 × 4 × 4 = 64、64 の平方根は 8、8 の平方根は約2.83 になります。これに70をかけて、RER は約198kcal です。
スマートフォンの電卓アプリを横向きにすると関数電卓になり、「xʸ」のボタンで 0.75乗を直接計算できます。AAHA のガイドラインでも、この方法が紹介されています[1]。
1日に必要なエネルギー量(DER)の係数
DER は、RER に猫の状態に合わせた係数をかけて求めます[1][5]。AAHA のガイドラインにある猫の係数は次の通りです[1]。
| 猫の状態 | 係数 |
|---|---|
| 避妊・去勢済みの成猫 | 1.2〜1.4 |
| 未避妊・未去勢の成猫 | 1.4〜1.6 |
| あまり動かない・太りやすい猫 | 1.0 |
| 減量中の猫 | 0.8 |
| 成長期の子猫 | 2.5 |
| 妊娠中 | 1.6〜2.0 |
| 授乳中(子猫の数と授乳の週数による) | 2.0〜6.0 |
同じガイドラインでは、これらの係数はおおよその目安で、室内飼いやあまり動かない猫は、表の値より少ないカロリーで足りる場合があるとしています[1]。
環境省のペットフード・ガイドラインにも、体重5kg の避妊・去勢済みの猫の計算例があります。簡易式で RER を 5 × 30 + 70 = 220kcal とし、係数1.2をかけて DER は 264kcal です[5]。
年齢ごとの目安
AAHA と AAFP のガイドラインでは、猫の一生を次の4つの時期に分けています[2]。中高年期とシニア期は、1日に必要なエネルギー量の考え方が変わります[3]。
| 時期 | 年齢 | 1日に必要なエネルギー量の目安 |
|---|---|---|
| 子猫期 | 0〜1歳 | RER × 2.5[1] |
| 成猫期 | 1〜6歳 | 避妊・去勢の有無や体型に合わせた係数(上の表)[1] |
| 中高年期 | 7〜10歳 | RER と同じくらい[3] |
| シニア期 | 10歳をこえてから | RER の 1.1〜1.2倍、場合によっては 1.25倍[3] |
シニア期に必要な量が増えるのは、消化する力が落ちてやせてくる猫がいるためです。ガイドラインでは、年をとった猫はやせていることがよくある問題だとしています[3]。中高年期の値も、個々の猫に合わせて調整することが前提になっています[3]。
ごはんの量への換算
DER が分かれば、フードのパッケージに書かれている100gあたりのカロリー(代謝エネルギー)から、1日に与える量を計算できます[5]。
1日のごはんの量(g)= DER ÷ 100gあたりのカロリー × 100
たとえば、体重4kg で避妊・去勢済みの成猫(DER 約238kcal、係数1.2)に、100gあたり380kcal のドライフードを与える場合は、238 ÷ 380 × 100 で約63g になります。
パッケージに書かれている給与量の目安は、今の体重ではなく理想体重に対する量です[5]。太っている猫の減量の計算も、理想体重をもとにします[1]。理想体重は、見た目と触った感じで体型を5段階または9段階で評価するボディコンディションスコア(BCS)から求めますが、環境省のガイドラインでは獣医師に診てもらうことをすすめています[5]。
季節や運動量でも必要なエネルギー量は変わるため、環境省のガイドラインでは、週に1回ほど体重をはかり、理想体重を保てるように量を見直すことがすすめられています[5]。
体重からカロリーとごはんの量を計算する
Nekometry のカロリー計算では、この記事の計算式と AAHA・AAFP の係数をもとに、体重と猫の状態から1日に必要なカロリーと、選んだフードの量を計算できます。

Nekometryのツール
ごはん量を計算する
猫の体重と活動レベルからRER/DERとごはんの必要な量を計算します。